バリエーションの商標について、どの範囲まで登録しておけばいいのか悩まれる方は多いようです。基本的には、商標権の効力は、登録商標の類似範囲にまで及びますので、メインの商標を一つ登録しておけば、ある程度カバーできると思われます。
色違いの商標については、商標法70条1項に、
「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であつて、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとする(70条1項)。
との規定がありますので、色が違っていても、①その登録商標に類似する場合であって、②色彩を同一にすれば登録商標と同一の商標の場合には、「登録商標」に含まれますので、色違いの商標を使用していても問題となる可能性は低いでしょう。メインで使用する「青色バージョン」を登録しておけば、赤色や黄色など、その他の色についてもある程度は権利範囲が及ぶ可能性がありますので大丈夫でしょう。
縦バージョンか横バージョンの、どちらか一方を登録しておけば大丈夫でしょう。縦書きによる表示態様とこれに対応すると認められる左横書き又は右横書きによる表示態様の相互間の使用は、登録商標と社会通念上同一の商標と認められますので、どちらか一方を登録しておけば大丈夫でしょう。
ケースバイケースですので、一概には言えませんが、変更を加えることにより、登録商標と別の商標になった場合(類似範囲を超えて非類似となった場合など)は、権利の効力が及びませんので、登録しておいた方が良いでしょう。変更後のロゴが、他人の商標権を侵害している怖れもありますので注意が必要です。また、登録商標のロゴを変更して使用している場合で、登録商標の使用をしていない時には、不使用取消審判で取り消される可能性もありますので注意が必要です。
大企業などにおいて、大切な商標の場合は、バリエーションの商標についても登録してある例があります。例えば、皆さんもご存知かと思いますが、時計の「G-SHOCK」というブランドがありますよね。カシオ計算機株式会社は、「G-SHOCK」(第2424099号…等)について商標登録していますが、「G-SHOCK」以外にも、「A-SHOCK」「B-SHOCK」などとAからZまで登録してあります。
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