先ずは、初心者でもわかる【PCT出願】のページをご覧ください。
ひとつの出願を自国の特許庁に手続することによって、PCT加盟国であるすべての国に、同時に出願したことと同じ効果を得られる、特許協力条約に基づいた出願制度です。
特許協力条約(Patent Cooperation Treaty(略してPCT)とは、1970年にワシントンの外国会議で採択された条約です。外国への特許出願費用や、出願手続に掛かる出願人や特許庁の労力を軽減するために作られました。この条約に基づき、PCT出願が行われており、スイスのジュネーブにある世界知的財産所有権機関(World Intellectual Property Organization(略してWIPO)国際事務局が統括し、事務処理を行っています。
主に下記の方法があります。
尚、インターネット回線を利用して提出できるものはPCT出願のみです。出願後に行う予備審査請求書等の「中間手続」は、オンラインによる提出はできません。
※2、3の方法にて提出した場合、国際出願手数料が減額されます。詳しくは、特許庁ホームページの「国際出願関係手数料表」を御覧ください。
いいえ。PCT出願時には代理権を証する書面は必要ありません。しかし、出願時の願書に記載されていない代理人又は共通の代表者が、新たに選任される場合には、別個の委任状又は包括委任状の写しを提出する必要があります。 尚、PCT出願の取下げ、指定の取下げ、優先権主張の取下げ並びに国際予備審査請求の取下げ又は選択の取下げ手続は、委任状が必要になりますので、御注意ください。
いいえ。PCT出願をした後、PCT出願日又は優先日(優先権主張基礎出願の出願日)から、30月(又は31月)以内に、希望する国(指定国)への移行出願手続をしなければ、希望する国で特許を所得することができません。
はい。認められます。
米国特許法の改正により、法人も出願人として認められるようになりました。これに関連して、平成24年9月16日にPCT実施細則が改正され、書面の願書様式及びPCT-SAFEについては、出願人の指定国を特定するための「米国を除くすべての指定国」及び「米国のみ」のチェックボックスが削除されました。 但し、インターネット出願ソフトは未だこの改正に対応しておりません。 ですので、平成24年9月16日以降のPCT出願において、「米国を除くすべての指定国」又は「米国のみ」のチェックボックスにチェックが記載されている場合、出願人又は代理人宛に、「名義変更届」を提出することが可能である旨の通知(PCT/RO/132又はPCT/IB/345)が、受理官庁又は国際事務局より送付されます。
PCT出願時に保護の種類を明示することはできません。
従って、実用新案を取りたい場合には、指定国へ国内移行出願をするときに、当該指定国に対して、実用新案の保護を求める旨の表示をする必要があります。ちなみに、日本において実用新案の保護を求めたい場合には、日本国移行手続時に提出する国内書面の、【出願の表示】、及び【出願の区分】の欄へ「実用新案登録」と記載をして下さい。
はい。できます。
パリ条約の締約国及びWTO加盟国にした先の出願を基礎として、優先権を主張して国際出願することが可能です。また、国際出願を基礎出願として優先権を主張することもできます。基礎出願と後の出願である国際出願は、パリ条約上の優先権の関係になります。ただし、日本出願を基礎として優先権主張をして国際出願した場合で、指定国に日本が含まれている場合には、基礎の日本出願と指定国の日本移行出願の関係は、特許法第41条、及び第42条が規定する国内優先権の関係となります。
願書にその旨を記載します。
願書の「第Ⅳ欄 優先権主張」の欄で、先の出願の出願番号、出願日等を記載すれば、自動的に優先権を主張したことになります。また、優先権主張を行う場合には、基礎出願との同一性を確認するため、優先権書類が必要になります。優先権書類は、出願人が願書に、「受理官庁が国際事務局へ優先権書類を送付するように請求する」旨を記載することにより、受理官庁から国際事務局へ送付されます。
日本の国内出願を基礎として優先権の主張をし、日本を指定国とした国際出願をした場合、指定国の日本においては特許法第41条、及び第42条が規定する国内優先権制度が適用されますので、国内優先権の基礎となった先の国内出願は優先日から15ヶ月経過後にみなし取下げとなります。 優先権の基礎となった日本の国内出願が、「みなし取下げ」にならないようにするには以下のいずれかの方法があります。
※上記(1),(2)は国際出願の後に行うので、その手続を行わないままでいることもできます。(3)は国際出願時に願書上で日本の指定を除外するため、出願後に(1)や(2)の手続を行う必要はありませんが、その国際出願は、はじめから日本を指定国に含んでいないことになり、日本へ出願したものとはなりません。さらに、日本の指定を除外して出願した後に、その除外を取り消すことはできません。
国際調査報告書とは、国際調査機関が行った国際調査の結果が記載されている報告書です。国際調査報告書には、すでに世界中で開示された先行技術や関連技術がリストアップされています。
国際調査見解書とは、その発明の特許性(新規性、進歩性、産業上の利用性)についての審査官の見解が記載されているものです。国際調査見解書は国際調査報告書に添付されており、国際調査報告書と共に出願人(または代理人)と国際事務局宛に送付されます。 国際調査報告書が単に先行技術や関連技術文献がリストアップされているだけなのに対し、国際調査見解書には、その発明の新規性や進歩性等に関する審査官のコメントが記載されているので、出願人は審査官の判断を参考に、国内移行の必要性や、特許化の可能性を検討することができます。
出願人が国際予備審査請求をしない場合には、見解書は、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)(IPRP(第Ⅰ章))」と改称され、各指定国に送付されます。
尚、国際予備審査が請求された場合には、国際調査見解書は、国際予備審査機関による第一回目の見解書としてみなされます。そして、国際予備審査後に作成される「国際予備審査報告」は、第二回目の見解書として、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)(IPRP(第Ⅱ章)」という名称で発行されます。
下記の5つの対応が考えられます。
否定的な国際調査見解書に対しては、出願人は1から4のいずれかの対応をすることが予想されますが、国際予備審査報告を肯定的な報告に転じさせたい場合には、3の対応を行うことが必要です。
国際調査が全ての国際出願において自動的に行われるのに対し、国際予備審査とは、出願人により請求があった場合にのみ行われる審査です。国際予備審査を請求すると、国際予備審査機関により実体的に踏み込んだ審査が行われます。
次の方法により国際予備審査の早期開始を請求することができます。
但し、1と2のいずれかの方法で早期開始を請求したとしても、国際予備審査請求にかかる手数料の全額を支払われなければ、予備審査機関は国際予備審査を開始しません。
IPRP(第I章)とは、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅰ章)」といい、国際予備審査請求がされない場合に、国際調査見解書が改称されて発行される報告書のことです。また、IPRP(第Ⅱ章)とは、「特許性に関する国際予備報告(第Ⅱ章)」といい、国際予備審査の結果作成される報告書です。 IPRP(第Ⅰ章)は、国際出願時の国際出願を対象にした特許性に関する審査官の見解が記載されています。一方、IPRP(第Ⅱ章)は、19条や34条の補正、及び出願人から審査官への反論等により、補正された国際出願”を対象として作成されたものです。このように、IPRP(第Ⅰ章)とIPRP(第Ⅱ章)とでは、報告書の対象となる国際出願の土台が異なっております。
はい。いずれも優先日が基準日となります。
IPRPは、第I章、第Ⅱ章のいずれであっても、発明の特許性に関する審査官の判断が示されたものです。従って、判断の基準日はいずれも同じ基準日である必要があります。そこで、現行の国際予備審査における特許性の判断の基準日としている、「優先日(優先権主張があれば基礎出願日、なければ国際出願日)」をIPRPにとっての統一的な基準日としています。 なお、IPRP(第I章)を構成する国際調査見解書の作成は、国際調査報告書の作成と同時に行われますが、前者は優先日を特許性判断の基準日とし、後者は国際出願日を先行技術判断の基準日としています。これは、先行技術の判断を、指定国によって優先権主張が有効に認められなかった場合でも、その価値を落とさないために、より広めの範囲で先行技術の調査をしているからです。