建築物の意匠は、2020年4月1日から登録が認められるようになった意匠です。
これまでは、意匠法において保護される「物品」は、有体物である動産を意味しており、不動産である「建築物」は意匠登録が認められていませんでした。しかしながら昨今、店舗の外観に特徴的な工夫を凝らしてブランド価値を創出して、サービスの提供や商品の販売を行う事例が増えてきており、店舗などの建築物のデザインが、ブランド価値・企業イメージに大きく影響され、企業の収益の獲得にとって不可欠な要素となってきています。また住宅販売においても、消費者の住居に対する美的意識の向上に伴い、その形状、デザインを訴求する形で販売活動を行う不動産会社も多くなってきています。
こうしたデザインに工夫を凝らした店舗や住宅などの建築物には、そのデザインに多額の投資を行った上で設計しているケースも多くあり、これが容易に模倣されるようであれば、企業競争力の源泉たるデザイン投資の収縮を招くことになりかねません。 こういった現状を鑑みて、「建築物」が新たに意匠法の保護対象となりました。