委任状とは、手続きをする者がその者の代理人に対し、一定の手続きについて代理権を授与したことを証明する書面のことです。例えば、商標権を他人に譲する際に、代理人を通して譲渡手続きをする場合は、委任状が必要となります。
その一方で、商標登録出願をする際には、代理人を通して出願手続きをする場合でも、委任状は必要ありません。このように、特許庁に対して行う手続の中でも、委任状が必要となる手続と、必要ない手続きがあります。
出願手続きや、意見書、補正書のように、出願人にとって不利益とならない行為については委任状が必要ありません。一方、出願の変更・放棄・取下げ、商標権の放棄など、出願人(権利者)にとって不利益になるような行為については委任状が必要となります(特許法9条(代理権の範囲))。
マドプロ出願で海外に出願する場合、出願の際には、現地代理人を介する必要はありません。日本の特許庁を通して出願することができるので、委任状は必要ありません。
一方、海外に直接出願する場合は、国によっては委任状が必要になることがあります。例えば、中国、台湾、韓国、マカオなどに直接出願する場合は、出願の際に委任状が必要となります。
また、マカオの場合は公証付きの委任状が必要となります。
公証というのは、公務員(公証人)が職権で証明する行政上の行為のことで、その委任状が「本物である」「本人のものに間違いない」と証明することをいいます。つまり、公証付きの委任状とは、「この委任状は本物です」という証明書が付いた委任状のことを意味します。
公証は、公証役場で公証人により行われます。公証役場は、全国各地に約300ヶ所あります。証明を受ける文書の署名者が自ら公証役場に出向いて公証を受ける場合もあれば、その代理人が行く場合もあります。代理人が行く場合は、その署名者からの委任状が必要となります。
※1 発行後3ヶ月以内のものが必要です。返却可能です。
詳しくは、お近くの公証役場にお尋ねください。
一般的に、海外の代理人から公証付きの委任状(notarized Power of Attorney)を求められた場合は、公証役場での「公証」で問題ありません。ただし、国によっては、認証(legalization)を必要とする国もあります。この場合は、公証役場で公文書を作成した後に、大使館での認証が必要となる場合もあります。海外の代理人に確認した上で、手続きを進めてください。