ここのところニュースなどで、東京オリンピックの話題が多く取り上げられています。「おもてなし制服がユニークすぎる」とか、「新国立競技場の建設費用」など、さまざまなことが話題となっていますが、2020年の東京オリンピックを待ち望んでいる人も多いのではないでしょうか。
さて、オリンピックの応援といえば、「がんばれー!」「にっぽん、がんばれー!」など、国名の「にっぽん」と「がんばれ」は、必須ですね。
実は、この「がんばれ!ニッポン!」・・・「公益財団法人日本オリンピック委員会」の登録商標なのです。
防護標章も登録されているので(第4902995号防護第01号、第02号)、「がんばれ!ニッポン!」は、「公益財団法人日本オリンピック委員会」の出所を表示するものとして、著名な商標であると認められているということですね。
この「がんばれ!ニッポン!」の商標登録(第4481000号)を巡っては、不使用取消審判で、その使用の有無について、争われたことがあります(取消2004-30728号)。
審判において、原告側は、
「スローガン(「ある団体・運動の主張を簡潔に表した標語」)として使用されているものにすぎず,消費者・需要者において,役務提供についての出所識別表示として認識されるものではない。」
と主張しました。つまり、「がんばれ!ニッポン!」は、スローガンであり、出所表示機能を有しているものではない、として不使用による取消を求めました。これに対して裁判所(知的財産高等裁判所)は、
「被告が,昭和54年以来,「オリンピック・キャンペーン事業」,「選手強化キャンペーン事業」等について使用してきたものであり,また「オリンピック選手強化事業キャンペーン」を表す標章として,被告の許諾を受けた多数の協賛企業により,長年にわたり継続して全国的に使用されてきたものであって,平成16年当時,既に国民の間に広く周知されていたことが認められる。このような本件標章の長期にわたる継続的な使用の実績,その周知著名性からすれば,需要者ないし一般国民は,本件標章が被告の事業を表す標章であり,これを使用している企業はオリンピックに協賛しているものと認識するということができるから,本件標章は,オリンピックに協賛している企業に係る役務を表す商標として,出所識別機能を有するものというべきである。」
と判断しました。昭和54年から、長年にわたり継続して全国的に使用されてきた「がんばれ!ニッポン!」について、「公益財団法人日本オリンピック委員会」の事業を表すものとして、出所識別機能を有していると認めたとうことです。
「そして,本件標章が,もともとは,いわゆるスローガンであったとしても,そのことから直ちに出所識別機能を有しないということはできない」
として、スローガンであっても出所表示機能を有することがあると判断しました。
横断幕に「がんばれ!ニッポン!」と書いて応援するような場合は、商標的な使用ではないので、一般的には問題ないと思われますが、応援グッズに「がんばれ!ニッポン!」などと記載して、商品を販売して売る場合は、商標権の侵害行為に該当する可能性もありますね(第4470504号)。
これから東京オリンピックに向けて、各商品やPRなども盛んになってくるでしょうから、「がんばれ!ニッポン!」の使用については、多少留意が必要ですね。