歯医者さんに行くと、デンタルフロスでの歯間ケアを進められます。歯磨きだけでは、歯ブラシの毛先が当たらない歯間は磨ききれないのです。歯間は、歯垢、口臭、感染症の原因となるバクテリアの繁殖域らしいです。歯垢がたまると虫歯や歯周病になってしまうので、一日に一度は、デンタルフロスでの歯間ケアをした方が良いようです。
みなさんは、「糸ようじ」を使用したことがありますか?
この「糸ようじ」、実は小林製薬株式会社の登録商標なのです(第2711488号)。「糸ようじ」についての商標登録は、出願してから登録までに8年間も費やしています。審査の段階では「糸ようじ」について普通名称であると判断され拒絶査定がなされましたが、拒絶査定不服審判において、出願人の主張が認められ商標登録を受けることができました。その後もサンスター株式会社が異議申し立てをしていますが、その申し立ては退けられ、登録が維持されています。
小林製薬株式会社は、「糸ようじ」について立体商標としても商標登録を受けています。みなさんも、CMや店頭で、この「糸ようじ」を見かけたことがあるでしょう。
この糸ようじじついては、意匠登録もされていたようですが(第764355号)、すでに権利の存続期間は満了しています。一方の商標権の存続期間は、原則として、設定登録の日から10年間で終了しますが、更新制度がありますので、更新を繰り返す限り、半永久的に存続させることが可能となります。
意匠登録を受けるためには、工業上利用することできる物品の形状、模様もしくは色彩、またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観をおこさせるものである必要があります。また商標登録を受けるためには、業として使用する文字、図形、記号もしくは立体的形状もしくはこれらの結合、またはこれらと色彩との結合である必要があります。ここで立体的形状としての商標と意匠は、ともに物品の外観を対象としている点で共通しますが、そもそも商標法における保護対象は、その物品のデザインではなく、使用により蓄積された商標に化体した業務上の信用であるという点で異なります。
商標法において立体的形状が保護されるようになり、物品の形状等のデザインとして意匠登録を受けるとともに、その特徴的な形状自体が出所表示機能を有するなどして商標の機能をも果たす場合には立体商標として商標登録を受けることも可能となりました。今回の場合に様に、意匠権の存続期間が満了した後であっても、立体商標として保護することが可能となり、商標権者は、権限なき第三者が指定商品「デンタルフロス」もしくはこれに類似する商品に登録商標またはこれに類似する商標を使用することを禁止することができるのです。意匠と立体商標は、それぞれの登録要件を満たせば、同一対象について重ねて保護を受けることが可能となり、当該製品の保護が強化されることが期待できます。
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