一般名称だと思って使用していた名称が、実は登録商標だったりすることがあります。例えば「セロテープ」。実は「ニチバン株式会社」の登録商標(第546229号)なのです。 出願日が(昭和27年8月7日)なので、かなり古い商標であることが分かります。そして登録日が(昭和34年12月21日)ということは、実に7年半もの月日を費やして登録になったようです。通常は、スムーズにいけば出願から1年程度で登録になるので、かなり苦戦したことが分かります。登録までの道のりをみますと、
登録の論点となったのは、識別力(商標としての特徴)があるかどうかという点です。拒絶査定不服審判では、商品が「セロハン製テープ」であるのに対して、商標が「セロテープ」なので、「セロハン製テープ」の単なる略称で識別力がないと判断されました。審決取消訴訟においては、審決が覆り、登録が認められました。裁判所の判断は、
「セロテープ」は、少なくともその登録時においては、その指定商品である「セロファン製テープ」を暗示するものではあっても、単にその品質・形状を表すに過ぎないものではなく、また、その取引者・需要者間において一般的に普通名称として使用され、認識されていたものではなく、商品である「セロファン製粘着テープ」の商標として自他商品識別機能を失わない程度に広く認識されていたものであって、商標法(旧法)1条2項にいわゆる特別顕著性を有していたものとみるのが相当である。
ここまで長い期間を費やして登録になった商標なので、「ニチバン株式会社」も普通名称化しないように努力しているようです。 例えば、セロテープの公式ブランドサイトを見ると、いたるところに「(R)マルアール」や「登録商標」が明記されています。 このように「セロテープは、わが社の登録商標です!」ということを積極的にPRすることで、普通名称化を防いでいるようです。
私たちも、普段何気なく「セロテープ買ってきて」「セロテープで貼って」などと言っていますが、「ニチバン株式会社」の「セロテープ」以外のものは、「セロハンテープ」もしくは「セロハン粘着テープ」と呼んだ方がいいですね。ちなみに海外では、「scotch tape(スコッチテープ)」と呼ばれています。「セロテープ」以外にも、実は登録商標だった意外なものがたくさんあります。一般名称として普通に使用してた名称が、一企業の登録商標だったとは驚きですね。
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