商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができる。
商標権の効力は、設定登録により発生します。登録された後には、侵害者に対して権利行使をすることができます。
では、出願してから登録されるまでの間はどうでしょうか?出願中の商標を、他人が勝手に使用している場合は、どうすることもできず・・・手をこまねくしかないのでしょうか?
実は、出願の段階であっても、出願の商標を保護する方法があります。出願から登録までにおける、その商標に化体した業務上の信用を保護するために、他人がその商標を指定商品・役務について使用することにより生じた、出願人の業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができるという規定があります(13条の1)。
突然の金銭的請求という不意打ちを与えないために、警告を行うことが必要です。たとえ他人が悪意であっても警告は必要です。
原則、出願人自らが、その商標を使用していることが必要です。本請求権の目的は、その商標に化体した業務上の信用を保護することにあるからです。
警告したにも関わらず、まだ出願中の商標を使用する者に対しては、権利行使を行うことができます。ただし、本請求権を行使できるのは設定登録後です。