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第31条【通常使用権】

第31条(通常使用権)
  1. 商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。
  2. 通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。

商標権者は、通常使用権の許諾をすることができます。専用使用権についても通常使用権の許諾をすることができますが、その際には、商標権者の許諾が必要です。

  • 時期的制限
    「3年間」などと、期間を区切って設定できます。
  • 地域的制限
    「関東地方」「大阪府内」などと、地域を区切って設定できます。
  • 内容的制限
    指定商品・役務を限って設定できます。ただし、禁止権の範囲において使用許諾を設定することはできません。

通常使用権は、債権的性質を有するものであり、同一範囲について、二以上の者に許諾を行うことも可能です。また、商標権者や専用使用権者も制限されることなく使用できます。

通常使用権の移転

通常使用権を移転する際には、商標権者の承諾を得る必要があります。専用使用権についての通常使用権の場合には、商標権者と専用使用権者の承諾が必要となります。

※相続その他の一般承継の場合は、承諾を得なくとも移転することができます。

公益著名商標に係る商標権の通常使用権について

令和元年の法改正(5月27日施行)により、商標法31条1項ただし書き「ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。」が削除されました。

改正前は、公益著名商標に係る商標権については、通常使用権の許諾は認められていませんでした。しかしながら、昨今、 地方公共団体や大学などが、マスコットキャラクターやオリジナルグッズを作成して、販売することも増えてきました。 地域のブランディングや自身の広報活動の一環として、地方公共団体や大学等が関連グッズを販売することや、研究機関が開発に携わった商品を企業が販売するケースが増え、特に大学において、自主財源の確保、産学連携から生じた研究成果の周知及び大学のブランド・知名度の向上等を目的に、公益著名商標に係る商標権の通常使用権を事業者に許諾し、ブランド展開を積極的に行いたいとのニーズが高まっていました。そこで法は、商標法31条1項ただし書きを削除して、公益著名商標に係る商標権についても、他人に通常使用権を許諾することができるようにしました。

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