商標権者は、通常使用権の許諾をすることができます。専用使用権についても通常使用権の許諾をすることができますが、その際には、商標権者の許諾が必要です。
通常使用権は、債権的性質を有するものであり、同一範囲について、二以上の者に許諾を行うことも可能です。また、商標権者や専用使用権者も制限されることなく使用できます。
通常使用権を移転する際には、商標権者の承諾を得る必要があります。専用使用権についての通常使用権の場合には、商標権者と専用使用権者の承諾が必要となります。
※相続その他の一般承継の場合は、承諾を得なくとも移転することができます。
令和元年の法改正(5月27日施行)により、商標法31条1項ただし書き「ただし、第四条第二項に規定する商標登録出願に係る商標権については、この限りでない。」が削除されました。
改正前は、公益著名商標に係る商標権については、通常使用権の許諾は認められていませんでした。しかしながら、昨今、 地方公共団体や大学などが、マスコットキャラクターやオリジナルグッズを作成して、販売することも増えてきました。 地域のブランディングや自身の広報活動の一環として、地方公共団体や大学等が関連グッズを販売することや、研究機関が開発に携わった商品を企業が販売するケースが増え、特に大学において、自主財源の確保、産学連携から生じた研究成果の周知及び大学のブランド・知名度の向上等を目的に、公益著名商標に係る商標権の通常使用権を事業者に許諾し、ブランド展開を積極的に行いたいとのニーズが高まっていました。そこで法は、商標法31条1項ただし書きを削除して、公益著名商標に係る商標権についても、他人に通常使用権を許諾することができるようにしました。