この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
第2条は、特許発明の定義についての条文です。しかし、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」といっても、つかみづらい定義ですよね。
「自然法則を利用した」とは何なのか?
「技術的思想の創作」とは何なのか?
「高度のもの」との基準は?
これらの用語について、以下に解説していきたいと思います。
「自然法則」とは、自然界において経験によって見出される法則のことをいいます。自然の事象において経験的に見出される化学的な法則であり、反復可能なものをいいます。人為的な取り決めなどは、自然法則には該当しません。
「技術的思想」とは、一定の目的を達成するための具体的手段をいい、知識として他人に伝達できる客観的な観念又は概念のことをいいます。
技術的思想の「創作」である必要があります。「創作」とは、新しいものを作り出すことをいい、天然物や自然現象などの単なる発見は、該当しません。
実用新案法における考案と区別するための定義です。自然法則を利用した技術的思想の創作を、すべて特許法で保護するとなると、質の低下や出願の増加により審査の遅延が生じてしまいます。そこで特許法では、「高度なもの」との要件を課して、実用新案法における保護対象と棲み分けを行っています。